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中組からくり人形

三番叟とは、能から歌舞伎に移入し、幕間の祝儀として舞う舞であり、種々のかたちのものがある。河和中組の三番叟人形は、烏帽子に日の丸、衣装に鶴亀があしらわれ、さらに右手に扇、左手に鈴を持っているところから、春三番叟といえる。

中組の山車は、上山に三番叟人形、その下に人形をあやつる者、その下の前段にアオゾウ(青蔵、青僧とも言う)と呼ばれる大きな目をした采振り役の人形、それを前にして囃子方、そして一番下にアオゾウ人形をあやつる者という配置である。三番叟人形は、笛・太鼓に合わせて「ヤーホーハー」のかけ声によって動作をするが、次のような社に変身する場面が特徴となっている。三番叟人形が舞いの最後に一瞬にして姿を消し、その直

後に周囲から社、橋、松があらわれ、その後四秒ほどの祇園囃子が三回繰り返される間に、ふたたび元の三番叟人形に早変わりするのである。アオゾウ人形は、ごく簡単な動きで、お払い、魔よけなどの意味を持っていた。

これら河和中組の人形は、その動きや、からくりの複雑さ、精巧さから、他と比較して一級品とみてよいものであろう。

この三番叟人形は、もともとは河和城主戸田孫八郎守光の末孫、水野家で毎年あやつり人形として披露されていたが、天神社の祭礼に奉納され、山車の上で演じるようになったといわれている。

三番叟人形

寛政年間の作と言われるもので、現在は新しく作られた人形が祭礼に披露されている。DSC_0492

アオゾウ

昭和十年頃、河和在住の磯部嘉吉の作であり、現在も祭礼には活躍している。DSC_0494